昨日の相続ブログでは、
「相続コンサルタントの定義」について、
いつも通りですが、生意気に、
色々と書き綴らせていただきました。
ご覧いただいた何人かの方々から、
ご意見をいただき、
Facebook の Messenger 上で、
やり取りさせていただいたこともあるので、
こちらでも、少しだけ。
昨日は、遺言を作成されたい方が、
法律家の許へ相談に行った時の例について、
触れましたが、あちらは、あくまで、一例です。
僕の周囲にいらっしゃる法律家の方々や
一緒に仕事をさせていただいている法律家の方々は、
税務も不動産(市場流通価格や遺留分対策)も
抑えていらっしゃいますし、
ちょっと心配だな・・・という場合は、
すぐにクライアントとの面談に
僕を同席させたり、
僕にバトンタッチされるので、
法律家の方が、苦手な部分とか、
詳細な論点も結果的には、考慮した形で、
遺言作成にあたっています。
要するに、アンテナをきちんと張り巡らせて、
リスクやデメリットをきちんと感知して、
説明をした上で、適任な専門家をご紹介できれば、
クライアントの表面上のニーズだけでなく、
本質的な目的も達成させ、
結果、クライアントが、最終的にハッピーになれる・・・
それで良いんです。
ちなみに、FacebookのMessenger上で、
やり取りさせていただいた内容の中で、
重要で、今日のテーマに直結する内容について、
ここから触れていきます!
尚、全てが、該当するわけではなく、
確率的に、かなり多い・・・というだけですので、
該当する業界全体を批判ではありません(笑)
何かというと、
「相続のコンサルティングをしています」
と言って、節税対策や納税資金対策を提案される
不動産・建築業界の営業マンが非常に多いです。
これは、特に平成25年後税制改正大綱以降、
非常に多く見受けられるようになりました。
簡単に言えば、
「節税対策として、アパート建てましょう」とか、
「節税対策として、マンション購入しましょう」とか、
「節税対策として、資産の組換えしましょう」とか、
「納税資金対策として不動産、売りましょう」等。
なかには、そもそも「節税対策」と言って
営業しているにもかかわらず、
ひどい時には、その営業マン自身が、
どういうメカニズムで「節税」となるのかを
理解されていないこともありますし、
その提案している「節税」が、
「所得税」の節税向けの商品
であるにもかかわらず、
「節税商品」ということしか、
頭に入っていないので、
相続税の「節税商品」として
案内しているケースもあったり・・・
また、営業のきっかけとして、
「相続税の節税」を前面に押し出すため、
クライアントは「相続税の節税」に興味を持ちますが、
成約後、商談をしているうちに、当初の方向性が転じ、
最終的には、節税効果が無い・・・
ということもありますし、
最悪のケースでは、
提案された節税対策を取り入れた結果、
なんと、従前(何もしなかったとき)よりも
相続税を多く納税する事になってしまった・・・
という不幸なケースも散見されます。
とはいっても、クライアントは、
依頼している不動産・建設会社が、
財閥系の会社であったり、
大企業であったり、
大きなフランチャイズ加盟店であったり、
CMに出ているような著名な企業や、
上場企業である場合、
当然、「間違いはないだろう・・・」と信じ切っていることが、
ほとんどです。
ですが、もし、提案(対策)を受け入れた場合、
実際には、その提案内容に、
期待していた効果が無かったことが分かるのは、
相続が発生した時・・・
そして、数年後・・・相続が発生し、
提案された対策を実行したにもかかわらず、
期待した効果を得られない・・・
と分かった相続人は、当然、当時の担当者に、
効果が無かったことを問い詰めますが、
仮に相続税の提案(対策)を講じたのであれば、
「我々は税理士ではないので・・・」
「税の事までは責任は持てません」
「提案資料にも、税務に関しては、
必ず税理士に確認するように記載がありますよね?」
と突き放される始末・・・
実は、このようなことは、日常的に起きているのが実態です。
ですが、別のブログでも何度か触れているように、
不動産・建設会社の売上は、
1)不動産の売買による仲介手数料、
2)不動産の分譲、転売による利益、
3)建築会社の場合は、請負契約による利益
であり、実際に、コンサルティング報酬にて
売上をあげている会社は、
皆無・・・とまでは言いませんが、
ほとんど無いと思います。
つまり、
「相続のコンサルティングをしてます」とは言いながらも、
それは、「相続コンサルティング」ではなく、
集客を目的としたマーケティングツールとして、
「相続コンサルティング」と言っているだけ
・・・といった会社がほとんどです。
ここまで、好き放題、書き綴っていますが、
別に、僕は、不動産・建設会社を
ディスりたいわけでは、無いんですよ!
むしろ、不動産・建設会社で従事される
不動産業界のプレーヤーにこそ、きちんとした
相続コンサルティングスキルを身に着けていただいて、
相続コンサルティングサービスを提供すべきですし、
この業界だからこそ、「相続コンサルタント」を
育てる必要があると思っています。
昨年末に東京国税庁管轄における
「令和元年分の相続税の申告事績の概要」が
プレスリリースされたのは、ご存じでしょうか?
東京国税庁ですから、
千葉、東京、神奈川、山梨の1都3県における
相続税の申告実績をデータベース化したものです。
こちらによると、
令和元年に発生した相続の課税割合は、
東京国税庁全体では、13.1%、
東京都単体では、16.3%。
ちなみに、国税庁がプレスリリースしている
国内全体での課税割合は、8.3%と、
全国的にも、東京国税庁管轄でも、
前年の平成30年と比較しても、
課税割合は、いずれも微減です。
さて、このデータベースの中で、
よく話題に出るのが、相続財産における不動産の割合。
こちらのデータベースでは、
土地は、「土地」として表記され、
税務上の用語ですから、
建物は、「家屋」と表記されます。
東京国税庁のデータを見ると、
相続財産全体に占める
土地の割合は、約37%、
家屋の割合は、約5%、
そして、土地と家屋を合計した
「不動産」の割合は、約42%程度。
ちなみに、同様に
有価証券は、約17%
現金・預貯金は、約31%。
です。
実は、この相続財産に占める不動産の割合ですが、
平成24年度の申告事績の概要迄は、
土地と建物(家屋)を合計した不動産の割合が、
相続財産の全体の50%を超過していたため、
多くの方々(先生?)は、
研修やセミナーで、
「不動産は相続財産の過半を超えるから、
不動産コンサルティングの意義は大きい!」
等と仰っていました。
しかし、平成25年以降の相続税の申告事績では、
土地と建物(家屋)を合計した不動産の割合が
50%を下回ったため、
「不動産は相続財産の過半を超えるから、
不動産コンサルティングの意義は大きい!」
等と、今まで、声を大にして、仰っていた方々は、
誰一人、この部分について、触れなくなりました。
この事実に対して、僕の一言・・・
「浅いっすね!」
決して、馬鹿にしているわけではありません(笑)
けど、この点について、触れなくなった方々、
ん・・・先生?とでも言っておきましょうか?
恐らく、「相続」とか、「相続税」について、
高いところ(演台)からも、日常的にも、
語る資格、無いです!
何故、こんなこと、言うんでしょう?
相変わらず、僕、生意気ですみません。
でも、よく考えてみましょうよ(笑)
このデータって、国税庁が、
相続税の申告のあった申告書を
データベース化しているわけじゃないですか?
多分、「第15表」とかですよね?
となると、考えるべきなのは、
相続税において、相続財産の評価(価額)て、
何で見るんでしたっけ?
時価ですよね?
でも、国税庁も、国税庁の出先機関の税務署も
各々の財産について、実体経済上の「時価」で
評価することが実務的にも困難ですから、
簡素化するためにも、統一性を持たせるためにも、
国税庁長官が、「財産評価基本通達」を
出しているんですよね?
ここで、すみません…
まぁ、余談ですが、
行政書士の方々でしたら、
受験勉強時代に、
「通達は国民を拘束しない」
なんてフレーズ、学ばれましたよね?
前提として、
通達は、行政機関において、
偉い上級行政機関から下級行政機関(出先機関とか)に対して、
法律の解釈や裁量判断における指針に過ぎず、
国民は、通達に従う義務は無い・・・
つまり、拘束されない
とか、学ばれましたよね?
そうなんです!
一見、脱線したように見えますが、
この財産評価基本通達も、
国税庁長官が、
その下級行政機関である国税局長、
更にその下級行政機関である税務署(職員)に対して、
出されている行政機関内の指針なんです。
ですから、必ずしも、従う必要はないんです。
ですが、実態はどうでしょうか?
「通達は、国民を拘束しない」から、
財産評価基本通達に従わない・・・
て、アリでしょうか?
僕の判断としては、アリだと思います。
ですが、どうでしょう?
相続税の申告をするのって誰でしたっけ?
税理士ですよね?
例えば、税理士に不動産の実体経済上の時価を
算出してもらうのって、難しいですよね?
では、税理士が、不動産業者の無料査定とか使って、
無料査定による査定書を「時価だ!」と主張されたら、
どうでしょう?
多分、これ、認めちゃうと、
皆さん・・・というか、
どの税理士も不動産業者に駆け込んで、
「お願いだから、安く査定して!」
ってなっちゃいますよね?
無料ですし…
だから、税理士も、税務署から
変に疑いをもたれて、
税務調査に入られないように、
「御宅のボス(国税庁長官)が出してる指針で
評価してるんですから、文句付けないでよ!
こっちだって、不動産評価の専門家じゃないんだから!」
と言えるように財産評価通達に従っているんです。
ちなみに、ごく稀に、不動産評価については、
不動産鑑定士による鑑定評価書が用いられる
こともありますよね?
あれは、なぜ、有効なんでしょうか?
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、
不動産の評価や鑑定って、有料で受任できるのは、
不動産鑑定士だけなんです。
そう、独占業務なんです。
なので、よく不動産会社が、
「無料査定実施中!」とか
「査定は無料で対応!」とか、
目にすると思いますが、それは、当然なんです。
むしろ、有料にしたら
…アウトなんです。
では、なぜ、不動産鑑定士による評価、
つまり、鑑定評価書は、有効なんでしょうか?
それは、国(国土交通省)が定めた
鑑定評価基準に則って評価をしているからなんです。
だからこそ、相続人から、
「安く評価して!」
と言われても、不動産鑑定士は、
この鑑定評価基準に則って評価せざるを得ないので、
不用意に、激安にすることはできないんです。
且つ、この鑑定評価基準は、
国が定めた基準ですから、
その国が定めた基準に則って評価したのに、
国税庁(税務署)がそれを拒む・・・となると、
矛盾が生じますよね。
だから、有効なんです。
↑の方で、
「不動産の時価評価において、
財産評価基本通達に従わないことは、
アリなのか?」
という自問に対して、僕は、
「僕の判断としては、アリだと思います。」
と回答したのは、これが理由です。
ま、中には、この鑑定評価基準を逆手にとって、
過度な評価をしてしまい、鑑定評価書による
時価評価が否認されるケースも多々ありますが(笑)
すみません、かなり脱線しました。
話を元に戻します。
どこに戻すかというと、
相続財産の評価は、時価で行い、
その時価においては、財産評価基本通達に基づく
・・・というところまで戻ります(笑)
さて、なぜ、ここが重要かというと、
財産評価基本通達による土地の評価、
どうでしたっけ?
市街化区域内は、路線価方式でしたよね?
路線価って、時価の幾ら相当でしたっけ?
原則論ですが、公示価格等の80%でしたよね?
僕のセミナーや研修では、頻出となる
「土地の評価は【1物5価】」においても、
実体経済上の時価を僕は「市場流通価格」と定義し、
この市場流通価格は公示価格の115~120%
と話してします。
つまり、市場流通価格を
公示価格の115%と仮定した場合、
相続税路線価は、市場流通価格の70%程度となります。
意味、わかりますか?
ちょっと、このブログ自体が、
かなりの長文なので、
忘れている方も多いと思いますが、
東京国税庁のデータを見ると、
相続財産全体に占める
土地の割合は、約37%、
家屋の割合は、約5%、
土地と家屋を合計した「不動産」の割合は、
約42%程度でした。
ですが、これは、相続税の申告書に基づくもの。
ということは、市街化区域の占有率が最も高いであろう
東京国税局管轄内で申告された
115,267件の申告書に記載された
土地の評価額の合計であって、
その評価額の合計の割合が、
相続財産全体の約37%てことなんですよね?
ということは、この土地の評価って、
実体経済上の時価、つまり、市場流通価格で
計算する場合、この土地の評価額の合計額を
70%で割り戻す必要があるという事。
では、建物は・・・
というと、建物も、財産評価基本通達では、
固定資産評価額が、相続税法上の時価に該当しますよね?
では、建物の実体経済上の時価と、
固定資産評価額の関係性を見ると、どうでしょう?
一番分かり易い例を挙げます。
・東京23区
・延床面積30坪程度
・木造
・新築1戸建(マイホーム)
上記の固定資産税評価額は、
約940万円。
これをハウスメーカーや工務店で建築されると、
ピンキリですが、請負価格は、
2,500万円程度としましょうか?
もちろん、大手のハウスメーカーであれば、
3,000万円ということもあれば、
4,000万円を超える場合もあるでしょう。
一方、逆に工務店ですと、
2,000万円を下回ることもあるでしょう。
ですが、ここでは、便宜上、2,500万円として、
進めさせていただくと、
固定資産税評価額は、実体経済上の時価、
つまり、請負価格の約37.5%相当なります。
建物についても、令和元年の相続税の申告事績では、
東京国税局管轄内で申告された
115,267件の申告書に記載された
建物(家屋)の評価額の合計の割合が、
相続財産全体の約5%ということでした。
土地の時と同様に、建物においても
実体経済上の時価、つまり、市場流通価格で
計算するには、、この建物(家屋)の評価額の合計額を
37.7%で割り戻す必要があるという事。
上記を踏まえて、
令和元年の相続税の申告事績の内、
東京国税局管轄内で申告された
相続財産全体に占める土地の割合は、
約43%
建物(家屋)の割合は、
約10%
となり、土地と建物(家屋)を合わせた
不動産の割合は、約53%となり、
相続財産全体の過半を占めるということになりました。
めでたし、めでたし・・・
というわけではありません。
お忘れかもしれませんが、
土地については、
「小規模宅地の特例」によって、
「特定居住用」や「特定事業用」が適用されていれば、
▲80%で評価されていることもあるでしょう。
或いは、「貸付事業用」として適用されていれば、
▲50%で評価されていることもあるでしょう。
更には、節税対策の真骨頂として、
「貸家建付地」による評価減も大きいです。
借地権割合にもよりますが、
▲約20%で評価されいることもあるでしょう。
また、借地権付建物を賃貸に供している場合は、
「貸家建付借地権」としての評価となるため、
借地権としての評価額から、
▲30%で評価されていることもあるでしょう。
さらには、「地積規模の大きな宅地」に該当すると、
▲20~30%で評価されていることもあるでしょう。
建物については、
賃貸中の建物であれば、「借家権」として、
▲30%で評価されていることもあるでしょう。
これらを考慮すると、実際には、
土地と建物(家屋)を合わせた不動産の割合は、
70~75%前後を占めるであろうことは、
容易に予想がつくはずです。
ですから、普段から、
「相続」とか、「相続税」について、
高いところ(演台)から、話している方々(先生?)は、
こんなこと、気が付いて当然なんです。
逆に、こんなことに気づかずに、
パタッと触れなくなるなんて・・・
浅い!です。
さて、今日、一番、お伝えしたいことは、
ここから(笑)
「相続コンサルタント」の定義については、
冒頭の通り、昨日のブログでも触れましたが、
「相続コンサルタント」には、
法律家、税理士等の常日頃から相続実務に携わる方々・・・
と書き綴りましたが、
実は、一番、相続コンサルタントになっていただきたいのは、
不動産業界のプレーヤーの方々なんです!
不動産業界のプレーヤーが、
仲介手数料や、分譲・転売による利益等の
目先の利益(表現の仕方が悪くてすみません)に
左右されずに、
「コンサルタント」として、
自身の高度な知識、スキル、経験を以って、
クライアントが掲げる目的の実現や達成に向けて、
クライアントに寄り添って相続のコンサルティングを
行うことができれば、
本来は、法律家や税理士が相続コンサルタントとして行う
相続コンサルティングよりも絶対的に効果が高まるはずなんです。
なぜか?
その理由は、
相続財産の70~75%は、不動産が占めるから。
つまり、
相続税が発生する個人の財産の約3/4は、
不動産なんです!
その不動産の専門家は、
不動産業界のプレーヤーですよね?
有料では時価評価を受任することこと、
できませんが、時価評価なんて、朝飯前。
購入物件の候補なんて、
ネットを叩けば、すぐに出る。
組換えや有効活用なんて、
お手のものじゃないですか?
でも、不動産は、唯一無二。
この業界って、
この業界に居ないと分からないこと、
法律や教科書に書いていない事ばかりじゃないですか?
皆さん、完全な叩き上げじゃないですか?
この業界の事は、幾ら法律家や税理士が賢くたって、
一長一短で、身に着けることはできないんです。
だからこそ、不動産業界のプレーヤーは、
本来、相続コンサルタントに、うってつけなんですよ!
けど…法律も税金も勉強するの面倒くさいですよね?
テキスト(教科書)とか、文字ばっかりで、
1~2ページ読んだら、眠くなっちゃいますよね?
僕も一緒ですよ。
けど、そこを乗り越えて、法律や税金を勉強して、
沢山の事例を体験することで、
相続コンサルタントとして、
クライアントからだけでなく、
法律家や税理士からも頼られる存在となり、
キャスティングボードを握る存在になり得るんです。
もちろん、そうなったからって、
仲介手数料や分譲・転売等による利益等の
目の前の利益(表現の仕方が悪くてすみません)に
左右されちゃだめですよ!
けど、何度も繰り返しますが、
不動産業界のプレーヤーは、
相続が発生する方々の資産全体の3/4を占める
「不動産のプロ」だからこそ、
相続コンサルティング能力を高め、
相続コンサルタントになるべきなんです!
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