「相続コンサルタント」の定義

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「相続コンサルティング」の定義付けについては、

過去のブログでも、必要性を申し上げてきましたし、

「真の相続コンサルティングとは」等についても、

熱く書き綴ってきました。

 

「相続コンサルタント」は、一言で表すと、

当然、「相続コンサルティング」をする専門家。

 

では、「相続コンサルティング」の専門家って、

一体、何でしょう?

 

一般的には、「相続」といえば、

税理士や弁護士をイメージしますよね?

「相続」といえば、「相続税」

「相続税」といえば、税理士。

 

そして「相続」といえば、

「遺産相続」というテレビドラマまで

放映されたように、遺産分割において、

骨肉の争い・・・まさに、血を分けた親族間における

相続人間での遺産相続をめぐる紛争等、

ちまたでは、「争族(あらそうぞく)」等と

揶揄されます。

 

そう、そうなると、この骨肉の争いに

登場するのが、「弁護士」ですよね?

だから、「相続」といえば、「弁護士」!

 

・・・「ドラマの見過ぎです!」

等と言う気は、さらさらありません(笑)

 

そのイメージ、大切です。

これらのように、「相続」と聞いて、

税理士や弁護士をイメージされる方は、

全く以て間違っていません。

 

何故ならば、上記の通り、

「相続税」の事であれば、税務代理人として、

申告業務を受任できるのは、「税理士」だけであり、

これは、税理士の独占業務ですし、

 

そして、遺産分割協議が不調となって、

調停、審判となった場合、代理人となったり、

紛争性のある事件において仲裁・調整することが

できるのは、弁護士の独占業務だからです。

 

 

さて、ここで、少し、深堀りしますが、

「相続に関する相談をしたいな!」

と思った時に、専門家に聞きたいことって、1つだけですか?

 

例えば・・・

アナタが、「遺言を作成したい」と思った時、

アナタは、「遺言の作成」についてだけ、

聞くことできれば良いでしょうか?

 

僕がお手伝いをさせていただくケースでは、

遺言の作成を希望される場合、

 

推定相続人の調査からはじまり、

推定相続人の確定をし、

 

ご本人自身の財産を調査し、

生前贈与や特別受益について、棚卸(確認)をします。

 

また、不動産を所有されている場合は、

所有有不動産の調査をし、特定し、

その上で、市場流通価格の確認を行います。

 

ご本人のご希望(遺言)通りに執行した場合の、

遺産分割上の各相続人事の

相続按分のシミュレーションを行い、

 

そのバランスや遺留分を侵害する可能性がある場合、

その対策案をディスカッションしますし、

 

これを終えると、今度は、税理士と一緒になって、

ご本人のご希望(遺言)通りに執行した場合に発生する

全体で生じる相続税の納税予定額や、

相続人毎の相続税の納税額のシミュレーションを行い、

その上で、納税資金対策をはじめとする対策を講じます。

 

 

少し長くなりましたが、

整理をすると、

 

「遺言を作成したい」ということで、

どこかの法律家のところへ相談に行ったとしましょう!

この時、遺言の作成、そのもの自体は、

法律家が打合せをし、作成のサポートをしてくれますが、

上記でも触れたように、

 

1)推定相続人の調査・確定作業

2)生前贈与や特別受益の棚卸(確認)

3)不動産の調査・確定・市場流通価格の確認

4)相続税のシミュレーション

 

等といった内容が生じます。

一般的には、

 

1)推定相続人の調査・確定作業

  については、法律家が、自ら行うことがほとんどです。

 

 

2)生前贈与や特別受益の棚卸(確認)

  については、そもそも、生前贈与や特別受益の

  有無、そのものを確認をしますが、

  もし、生前贈与や特別受益があった場合は、

  その詳細を確認します。

 

  生前贈与と聞くと、税務上の論点ばかり

  気にされる方が多いと思いますが、

  ここでは、税金としての生前贈与だけでなく、

  特別受益として、遺産分割上の論点として、

  検証する必要があります。

 

  よく、こちらの場面で話として挙がるのが、

  生前贈与は、「申告しているから大丈夫」という話。

  ですが、ここでいう論点はそこではありません。

 

  確かに、この後で触れる相続税のシミュレーション

  の場面では、必要な話にはなりますが、

  ここでの論点としては、

  生前贈与におけるその贈与額は、

  税務上と民法上で評価時点が異なるという点です。

 

  今回は、いきなり、専門用語を使ってしまいますが、

  相続時精算課税制度等を利用した場合、

  税務上は、その評価時点は、

  贈与時点となりますが、

  民法上、つまり実際の遺産分割事件等のおいての

  評価時点は、相続発生時点になります。

  また、その評価額は、不動産の場合、

  税務上の金額とは異なり、

  時価(市場流通価格)となります。

 

  ※本来は、生前贈与は、特別受益に含まれるものですが、

   上記の通り、税務上と民法上でその評価時点や、

   評価額が異なることから、ここでは、あえて、

   生前贈与と特別受益と併記しています。

 

  このように、生前贈与、特別受益がある場合は、

  税や不動産等の知識を要するため、

  法律家だけでは、難しく、税理士の分野や、

  そして、この対象に不動産が含まれるようであれば、

  不動産業者や不動産鑑定士の分野の知識を要します。

 

 

3)不動産の調査・確定・市場流通価格の確認

  については、文字通り、

  どのような不動産を所有していて、

  その市場流通価格は、どの程度なのか?

 

  これは、上記2)でも少し触れたように、

  不動産業者や不動産鑑定士の分野の知識が不可欠です。

 

 

4)相続税のシミュレーション

  については、僕が言うまでもなく、

  税理士の分野の知識が必要ですね。

  ・・・というより、税理士法に抵触するため、

  税理士の協力を要します。

 

 

長くなりましたが、ここで、確認したかったことは、

「遺言を作成する」というだけでも、

法律家の知識だけでは、事足りず、

税務、不動産等の知識を要するという事です。

 

クライアント(依頼者)からすると、

上記のような内容をパーフェクトな状態の

遺言を作成することを期待されますよね?

 

しかし、法律家に遺言の作成の依頼された場合、

そのほとんどのケースにおいては、

上記のような税務、不動産の市場流通価格等まで

きちんと考慮された遺言を作成される法律家は、

残念ながら、そんなに多くありません。

 

法律家の皆さんとしては、

やはり、法律家ですから、

その前にその前提となる資産(遺産)をきちんと、

ご本人の希望通り、相続させることが最優先です。

 

人の命ですから、いつ、何が起こるか分かりません

ですから、税や、不動産、そして不動産評価の影響を

受ける恐れのある遺留分等を論じている暇がるなら、

ご本人の意思を反映させるために、

いち早く、確実に遺言を作成しよう!

 

税も、不動産も遺留分も、大切なのは分かるけど、

相続したんだから、納税するのは当たり前。

 

遺留分についても、ひとまず、自分が相続できた。

それによって、他の相続人の権利を侵害しているのだから、

当たりまえ。

 

・・・等と仰る方も少なからず、いらっしゃいます。

 

 

これは、正論です。

法律家としては、間違っていないですよね?

 

 

ですが、どうですか?どう思いますか?

 

人って、欲張りですから、

確実に相続できることも必要であれば、

税も、不動産も遺留分も全てをパーフェクトに

考慮された遺言を作成したくなるものですよね?

 

 

ここで、話を戻します。

上記を要約すると、

遺言を作成する段階で、

法律家の宛に相談に行くものの、

理想論としては、そこでは、

税についても不動産についても知識が必要なる。

 

しかしながら、税も不動産も知識がない。

何故ならば・・・それは、

法律家は法律の専門家であって、

税の専門家でもなければ、

不動産の専門家でもないから。

 

正論ですね。

 

 

でも、実際、もし、アナタが、遺言を作成しよう!

と思ったときに、上記の正論だからといって、

税金や遺留分、不動産そっちのけの遺言を

作成したいと思いますか?

 

 

それとも、遺言を作成する際に、

法律家に相談をしながら、

税理士や不動産業者や不動産鑑定士に

自身で相談しながら、

遺言を作成されますか?

 

 

頑張ればできるでしょうけど、

それって、大変ですよね?

 

何が大変って、

時間の確保と労力という部分でも大変ですが、

実は、各々の専門家に相談すると、

各々の専門家は、

自分の専門分野の定義や解釈だけで

回答されることが多く、

結果的に、トータルで・・・

 

前述の言葉を使えば、

パーフェクトな遺言を作成するのは、

本当に大変です。

 

では、どうすれば良いのか?

誰に相談すれば良いのか?

 

遂に来ました!

 

そう、それが、相続の専門家である

相続コンサルタントによる

相続コンサルティングサービスです。

 

なんか、こう書くと、

滅茶苦茶、「相続コンサルタント」を

売り込んでいるように感じますよね?

 

そうなんです!

でも、僕が言っている

相続コンサルタントは、

他の方が定義されている

相続コンサルタントとは、

ちょっと違うんです。

 

ですので、

もうちょっと、我慢して、読み進めてください(笑)

 

そもそもですが、

僕が提唱する・・・というか、

拡げたい相続コンサルティングは、

 

僕のような

ノーライセンスの

相続コンサルタントも含まれますが、

本当のところ、相続の専門家として、相続実務に

携さわっていらっしゃる方々に、

相続コンサルタントとして、

相続コンサルティングに当たってほしいんです。

 

当然、国家資格者の場合、

国家資格毎の独占業務もありますから、

そこに抵触するような業務はしてはいけませんが、

 

例えば、

行政書士や司法書士、弁護士等の法律家が、

自分の専門の法律や、相続手続を除いた

税金、不動産実務、保険、資産運用にまで、

無茶苦茶詳しい。

 

税理士が、

自分の専門の税金を除いた

法律や相続手続、登記、不動産実務、

保険、資産運用まで、

無茶苦茶詳しい。

 

不動産業営業マンが、

自分の専門の不動産実務だけでなく、

法律も、相続手続も、税金も、保険も、

資産運用まで、無茶苦茶詳しい。

 

保険営業マンが、

自分の専門の保険や資産運用を除いた

法律も、相続手続も、税金も、不動産実務も、

無茶苦茶詳しい。

 

しかも、知識レベルとして、詳しいではなくて、

各分野の専門家とディスカッションできるレベルを

持ち合わせている・・・

 

だからこそ、高いレベルでアンテナを張り巡らせ、

目の前のクライアントにとって、

リスク、デメリット等を分析しながら、

同様のレベルを持った相続コンサルティングに

橋渡しができる・・・

 

 

いやいや、そんなの理想でしょ?

士業の枠、超えているでしょ?

業際は、ちょっと?

 

と思う方もいらっしゃるかもしれません。

けど、僕は、必要なことだと思います。

 

かなり、乱暴な言い方ですし、

いつも通り、

「お前、何様だよ!」と思われると思いますが、

 

自分の専門とする分野以外の分野の知識を以って

高いレベルでのアドバイスができないと、

「相続コンサルティングしてます」とか

「相続の相談にのってます」

とか言う資格(レベル)が無いと思います。

本当、生意気ですみません。

 

でも、↑を言われて、イラっとされるのは、

僕が言うからであって、

クライアントからしたら、

そうだと思いませんか?

 

法律家から、

「相続対策で遺言が必要なら相談してください」

って言われたから、相談した。

 

その結果、確かに、遺言によって、

財産は確実に相続できたけど、

不動産の評価が全然違っていて、

結果、他の相続人の遺留分を大きく侵害してしまい、

侵害請求権を行使されてしまい、

結果的に、

その遺言によって、相続した不動産を売却し、

その売却資金で遺留分を支払った

・・・というケースもありますし、

 

 

法律家が相続税を踏まえずに遺言を作成したことから、

想像を超える多額の相続税を納税する必要性が生じ、

手持ち資金が無く、結果的にやむを得ず、

遺言によって相続した不動産を

納税資金不足により、売却して納税した

・・・なんていうケース、幾つも目にしてきています。

 

 

だからこそ、

相続に携わる専門家は、

「自分の専門分野以外は管轄外」等と言わず、

きちんとした相続コンサルティングができる

相続コンサルタントであるべきなんです。

 

 

仮にも、クライアントの目の前では、

「相続の専門家」と言っているんですから…

 

 

別に、「相続コンサルタント」なんていう

怪しい名称を名乗る必要もないですし、

名刺に記載する必要もないんです。

 

ただし、きちんとした相続コンサルティングができる人、

つまり、相続全般の専門家でいていただきたいんです。

 

「税金はちょっと」とか、

「不動産はちょっと」とか、

言わず、勉強して、勉強して、

とにかく相続全般の専門家で居てほしいんです。

 

もちろん、以前のブログでも触れたように、

 

遺言作成の受任を目的に、

「相続コンサルティング」と名乗ったり、

 

民事信託(家族人宅)を目的に、

「相続コンサルティング」と名乗ったり、

 

不動産の売買に絡むことを目的に

「相続コンサルティング」と名乗ったり、

 

保険に加入してもらうことを目的に

「相続コンサルティング」と名乗ったり

 

・・・は「ダメ」です。

それは、「相続コンサルティング」ではありません。

しつこいですが、それは、ただ単に、

「相続コンサルティング」を集客を目的とした

マーケティングツールでしかありません。

 

 

そんな、最初から出口(提案商品)が決まっているのは、

コンサルティングでもなんでもなく、そんなものは、

「相続コンサルティング」と呼べません。

 

では、結局のところ、

「相続コンサルティング」って何なのか?

 

まず、「コンサルティング」においては、

クライアントが持つ希望や目的に対して、

コンルタントは、プロとして、その

高度な知識、スキル、経験を以って、

その実現や達成に向けて、

クライアントに寄り添っていくべきであって、

その関係性は、決して、上下関係でなく、

「=(イコール)」の関係。

 

 

では、「相続コンサルティング」は・・・?

というと、それは、

 

国家資格に代表されるような、

自身の専門とする分野だけでなく、

相続に必要とされる、ありとあらゆる分野

の知識をその分野の実務家並みに知識を有し、

ディスカッションできるレベルの知識を以って、

クライアントの希望や目的達成のために、

自身の持つ知識、スキル、経験から

様々な提案を行い、時にはナビゲーション役

になることなのではないでしょうか?

 

 

ですので、決して、

各国家資格において定められる独占業務を無視しろ!

とか、そういう話ではないんです。

 

 

何度も言いますが、相続実務に携わる

国家資格者に代表されるような方々が、

相続全般の知識を高いレベルで有し、

その高いレベルでのディスカッションができる

状態でないと、「相続コンサルティング」とか、

「相続の相談にのっています」とか、

語ってはいけないと思います。

 

極端な表現ですが、

上述した遺言作成のケースで居れば、

 

「遺言作成のお手伝いをしますよ!

 でも、税金もさっぱりなので、無視しますし、

 不動産の評価なんて、できませんから、

 不動産をお持ちでしたら、

 遺留分とかケアした遺言は作れません。

 もちろん、

 将来的に相続税とか知ったこっちゃないし、

 遺留分も知ったこっちゃないから、

 場合によっては、その相続した不動産を

 売却して、納税するなり、

 遺留分に充てると良いですよ。

 私は、執行可能な遺言を作成するだけから」

 

という説明が無いと、そのクライアントが不幸です。

極端ですみません。

そして、相続の実務家、特に法律家の皆さん、

イラっと来た方も多いと思います。

気分を害していると思うので、

謝ります。すみません。

 

・・・でも、実際、そういうことですよ!

そこは、曲げません。

相続のプロとして関わる以上、

プライド、見せましょうよ!

 

相続に関連する業務は、

その目の前にいるクライアントだけでなく、

その子、孫、ひ孫・・・

といった一族の財産や文化、哲学、

人間関係にまで、大きな影響を与えます。

 

 

だからこそ、

相続業務に携わる実務家の方々は、

中途半端はいけないと思うんです。

目の前の報酬だけでなく、妥協を許さず、

クライアントの一族の将来を見据えた

相続コンサルティングが必要になんです。

 

 

しつこいですが、最後にもう一度・・・

相続コンサルタントは、

決して、不動産営業マンや、保険営業マン、

ファイナンシャルプランナーが、

自身の取扱う商品を販売する目的で、

名乗るようなものではないんです。

そんなもので名乗っちゃいけないんです!

 

ごめんなさい、

ここは、商標とか、無視して、

精神論です!

 

相続コンサルタントは、

相続実務に携わる各分野の専門家が、

クライアントの一族の将来を見据えた

高度な相続コンサルティングを行うこと。

 

そして、だからこそ、だからこそですよ!

コンサルティング報酬として、

それに見合う適切な対価(適正な報酬)を

得るべきだと思うんです!

 

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