「相続コンサルタント」が考える「納税対策」としての「有効活用」③

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一昨日昨日は、「納税対策」として、

「有効活用」を進める場合の

 ・「割り切り」

 ・「本来の目的」

について、触れてきました。

 

簡単に振り返ると、「納税対策」は、

あくまで、「どうやって納税資金を確保するか」

ということが目的ですから、その達成のためには、

「割り切り」が必要となり、

いかにして、コストパフォーマンスの良く、

「キャッシュフローを潤沢にする」ことが、

重要であり、更には、その潤沢な手元資金を、

全部が全部、たいして増えない銀行に留めず、

「生命保険」へと形を変えることで、

残された相続人の生活の安定、精神的な安心感、

また、「遺産分割対策」や、「節税効果」がある旨、

触れてきました。

 

 

本当は、もう一点、お話ししたかったのですが、

文字数が9,000字弱ということでしたので、

さすがに、ご覧になる方も、大変かと思いましたので、

昨日、触れていない点を、今日、触れておきましょう。

 

それは、「キャッシュフローが潤沢」だからこそでき、

アパートやマンション等の賃貸物件を建築される方の

ほとんどの方々、ついつい、後回しにしてしまうこと

… そう、それは、大規模修繕に備えた積立金です。

 

なぜ、後回しにしてしまうかというと、

大きくは3つ程、要因があります。

 1)建築会社からメンテナンス不要と説明された

 2)そもそも、積立てる程、余裕がない

 3)ついつい使ってしまう

 

もちろん、様々な要因があると思いますが、

代表的なものとしては、上記3点でしょうか?

 

 

1)建築会社からメンテナンス不要と説明された

 

建築資材の性能が飛躍的に進化している昨今、

大手のハウスメーカーは、

耐久性の高い建材を使われているため、

・構造体力上主要な部分

・雨水の侵入を防止する部分

等は、メーカーによっては、

50年間保証、30年間保証として、

調査料やメンテナンス料も無料だったりします。

このあたりは、メーカー毎に、保障内容が異なり、

また、様々な要件などもありますので、

後々のトラブルにならないように、

詳細まで、確認しておく必要があります。

 

また、誤解されがちですが、上記のような

50年保証、30保証、等という保証年数は、

建物全体ではなく、あくまで、

・構造体力上主要な部分

・雨水の侵入を防止する部分

に限られるので、このあたりは、

建築会社毎に定められているアフターサービス基準を

事前に確認しておく必要があります。

 

そうなると、賃貸住宅の場合、

新築後の数年は問題ないかもしれませんが、

5年、10年と経過するについて、

内装、建具等が傷んできたり、

什器等も老朽化してきます。

15年、20年と経過した時に、

高い賃料を求めるには、

高い賃料に見合う物件でなければなりません。

そう、つまり、物件が老朽化してきたら、

それに伴うメンテナンスを要するということです。

 

ところが、どうでしょう?

ハウスメーカーや、建築会社に、

50年保証、30年保証と言われた言葉を鵜呑みにし、

(※正確にいうと、聞き間違い、認識違い)

その結果、内装、建具、什器のメンテナンスや、

交換を試みようと思っても、

「メンテナンスフリーだと思っていた」

「建築会社がやってくれるんじゃないの?」

「そんなお金、どこにもないよ!」

等ということは、四六時中、起きています。

 

 

2)そもそも、積立てる程、余裕がない

 

「有効活用」という言葉は同じでも、

その目的によって、提案される内容は、様々。

なお、相続税の「節税対策」と言って、

建築される場合は、キャッシュフローが厳しく、

正に、「積立てる程、余裕がない」状況となります。

 

また、仮に、「納税対策」として建築されたとしても、

実は、「キャッシュフローが潤沢」な有効活用て、

他所では、そんなに見かけません。

 

つまり、「納税資金対策」として

納税資金を蓄えるために、賃貸物件を建築しても、

「キャッシュフローが、潤沢でない」

「思ったほど、現預金が残らない」

ケースは、多々あります。

 

その理由は、こちらのブログでは、

あえて触れませんが、

一昨日のブログに目を通されると、

勘の良い方は、お気づきになるかもしれません。

 

ですから、昨日のブログに記載したような

僕が携わった「3事例」は、

ある意味、異次元に近いと思いますし、

僕の中でも、あちらの「3事例」は、

比較的、優秀な事例ですし、

あそこまで、投資効率が良く、

キャッシュが潤沢に蓄えることができる

提案は、稀と言っても過言ではないと思います。

そうですね…年に20件前後の「有効活用」に

携わらせていただきますが、あのレベル感の提案は、

毎年、3-4件程度ですかね?

 

 

3)ついつい使ってしまう

 

そして、「修繕費用あるある」なのが、こちら。

いや、本当にありますよ。

そもそも家賃収入が入金される金融機関口座の中で、

お金に名前は書いておけないので、

きちんと区別して管理しないと、本当に、

使い切っちゃってしまいます。

 

中には、金融機関に相談して、

「修繕費用」用の預金口座を開設してもらったり、

工夫される方も多いですね。

 

そんな中で、あえて提案したいのが、

またもや保険(笑)

… 既に過去のブログでも、何度もことわっていますが、

僕は、保険屋さんではありません。

また、この話を紹介したって、

僕には、一切メリットはありません。

メリットがあるのは、こちらのブログをご覧になった

お客様と、保険営業マン(募集人)でしょうか?(笑)

 

どういうことかというと、

簡単にいえば、事業収支に組み込んでいるはずの

「修繕費用」を銀行等の預金口座に入れておかずに、

「生命保険」に形を変えさせればいいんです。

毎月、口座から、引き落とされますから、

使い切ってしまう危険性もありません。

 

大規模修繕を行うにしても、

一般的には、築後、12~13年と言われますが、

実際は、築後、14~15年以降。

昨年、基準利率の改定がありましたので、

これが可能となる商品も厳選されるかもしれませんが、

12~13年経過すれば、解約返戻金が、

支払保険料を超過してくるでしょうから、

いざ、14~15年経過した際に、

大規模修繕を行おうとしたときには、

ただ、単純に現預金で、

「修繕費用」を積み立てているよりも、

増えているんです。

※シミュレーション上の話です。

 

上記のように「生命保険」を活用すると、

①修繕費用を計画的に積み立てることが可能

②選ぶ商品によっては、金融機関の口座に

 眠らせているよりも、

 はるかに増えている可能性もある。

 

というメリットがあります。

 

また、これは、修繕積立金としての活用に限らず、

事業収支計画上のキャッシュフロー、

つまり、手元資金についても、同様で、

金融機関口座に、ただ、眠らせているよりは、

「生命保険」の活用をすることで、

納税資金を膨らませることが可能となる…

という考え方も1つあります。

 

但し、当然、保険商品ですから、

為替リスクや運用リスク等も

商品ごとに異なりますから、

これらを吟味する必要があります。

 

さらには、この「膨らむ」原理を利用して、

現行、認められている贈与税の非課税枠等を活用すると、

様々なパターンでの「納税資金対策」が考えられます。

 

当然ではありますが、保険の活用ですから、

死亡保障が付いていますから、

当初の14~15年後の大規模修繕

といった計画を前にして、万が一のことがあっても、

生命保険金として、受け取ることが可能なので、

その効果は大きいです。

 

さて、保険屋さんでもないのに、

こんなに保険の事ばかり書き綴っていますが、

それは、何故か?

単に、有益だと思っているからです。

 

 

では、今日の本題。

昨日の続きとして、

「納税対策の必須条件」の2つ目である

「目的をブレさせない」

 

何のこと?って思われる方が、多いかもしれません。

一言でいえば、

世の中の皆さん、「節税」に流されやすいんです!

 

って、ことです

そう、最初は、「納税対策」を目的に、

「納税資金をいかに稼がせくれるか」、

つまり、「キャッシュフローの最大化」を追求して、

有効活用の計画を進めているんですが、

これって、言い換えると、

「いかに安く建物を建てて、いかに高く貸すか」

になるため、ハウスメーカーや、建築会社からすると、

売上も、利益も上がらないため、

面白くない提案となってしまいます。

 

そこで、営業トークの上手な営業マン達は、

何かあると「節税対策に有効です!」とか、

建物は素敵なものの、やはり事業計画における

見積額が高いことを指摘すると、

「でも、節税効果は高いですよ!」と返されます。

 

先日のブログでも触れたように、

確かに、より多くの支出をすれば、

それだけ「節税効果」は、高まります。

 

ただし、入居者から支払われる賃料は、ほぼ横ばい。

建築費用が、1.5倍、或いは2倍になってしまうと、

収益力が落ち、結果的には、

キャッシュフローの最大化には

繋がらないでしょうし、

投資効率としても、

賃貸(不動産)経営の視点から考えると、

全く以って、面白みや、旨味がない計画となります。

 

ま、こちらのブログでは、上記では、

あまり刺激しないように控えめに表現しますが、

中には、提案される「有効活用」の内容で、

そもそも建築当初から赤字という事業計画も、

よく、目にします。

まぁ、減価償却費の兼ね合いもあるので、

中には、最もらしく、

「納税対策って、結局、相続税、納めるんですよね?

 節税だったら、税金、納めなくて済むんですよ!」

なんてこと、平気で行ってきます。…ドヤ顔で(笑)

 

有効活用の案件は、損益で見たところ、赤字でも、

キャッシュフロー(手元資金)が確保されれば、

構いません。

しかし、この手の「節税対策」として提案される計画は、

たいてい、手元に資金は残らず、

お施主さんのお財布(預貯金)から持ち出し…

なんていうケース、意外とあります。

 

事業計画書とか、事業収支が記載されている資料は、

確かに、細かい数字が、羅列されているため、

見ているだけで、目がチカチカしてきたりもするので、

目を凝らしてみたくないかもしれませんが、

無茶苦茶大事な書類なので、避けては通れません。

 

そして、もう、お分かりかもしれませんが、

「節税対策」を意識した有効活用は、

キャッシュフロー(手元資金)は、残らず、

むしろ、お施主さんのお財布(預貯金)から、

持ち出し…となります。

 

でも、ご本人(お施主さん)は、

まだ、良いんですよ(笑)

「節税対策って言われたから話に乗ったんだ!」とか、

「数字が沢山羅列されていて気付かなかった!」とか、

言い訳してれば良いんです!

だって、最終的には、全部、自分の判断ですから!

 

では、誰にとって、最悪か!?って、

それは、正しく相続人以外の何者でもありません。

亡くなられたご本人が、きちんと考えずに、

「節税対策」に飛びついてしまい、

「節税対策」であるが故に、億単位の莫大な借金を抱え、

結果、家賃収入から、管理費等の経費、

毎月の返済を終えると、残高は、以前よりも減っている…

 

相続税の「節税対策」によって、

相続税は、支払わずに済んだものの、

毎年、数百万円単位での持ち出し…

唯一頼りにしていた家賃輸入も、

築年数の経過とともに、次第に家賃は減少し、

返済する金額は、変化は変わらず、

持ち出しとなる金額は、毎年毎年、増えるばかり…

 

なんてこと、よくあることです。

 

では、最大のネックとなる返済を止めるために、

売却しよう!と思っても、億単位の残債があり、

売却しても、残債が消せるかどうか程度…

つまり、せっかく売却しても、

借金の完済ができるか否かの瀬戸際程度…

「え?…あの建築資金はどこに消えたの?」

と思われる方も多いんですが、

ちょっと、冷たい回答ですが、答えは簡単、

「あ、あの賃貸物件ですよ!」という具合。

 

残された相続人からしたら、

「いったい、なんで、こういうことになったの!?」

「こんなことになるような最低の計画、

 提案したのは、誰!?」

という事になるわけです。

 

こんなケース、意外とあります。

 

…けど、この手の提案って、

ハウスメーカーや建築会社からの提案は、

当然として、「あるある」なんですが、

実は、意外と、税理士からの「節税提案」としても、

結構、「あるある」です(笑)

 

話を戻して、今回のケース、

全ては、あの口が達者な営業マンの

「納税対策って、結局、相続税、納めるんですよね?

 節税だったら、税金、納めなくて済むんですよ!」

 

という言葉と、そこに同調し、誤って、

「納税対策」から「節税対策」へと舵を切ってしまった

ことが原因です。

 

だからこそ、「納税対策の必須条件」の2つ目、

それは、

「目的をブレさせない」

になるんです。

 

さて、ここまで、

「納税対策」としての「有効活用」

というタイトルのもと、展開してきました。

ハウスメーカーや建築会社に対して、

かなり、失礼な事を書き綴ってきました。

 

まるで、ハウスメーカーを毛嫌いしているように、

思われている方もいるかもしれませんが、

決してそんなことはありません。

 

では、僕が、相続コンサルタントとして、

どのような場面で、ハウスメーカーに

建築をお願いするのか…

 

といった点について、

次回、触れていきたいと思います!

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