「1物5価」の活用で、相続の実務家の業務効率も信頼度もUP!

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Calculator on the report summarizes the results of business operations on desk of investor.
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昨日のコラムでは、

「市場流通価格」と「1物5価」の

定義付けと、その関係性について、触れました。

 

 

とは言っても、

この「市場流通価格」と「1物5価」という

2つの定義と関係性を知ったところで、

実務上、どう使うの?

 

と思われる方もいらっしゃると思いますので、

昨日のブログでも、多少、触れておきましたが、

結構な反響をいただきましたので、

A)税理士、保険営業マンの場合

B)法律家(行政書士、司法書士、弁護士)の場合、

C)不動産プレーヤーの場合

 

といった各々の立ち位置毎の

「市場流通価格」と「1物5価」を

どのように使いこなすのか…

について、触れていきます。

 

 

A)税理士、保険営業マンの場合

 

一般的には、前回のブログでも、触れたように、

税理士の場合、納税通知書をご準備いただくことが

多いですよね?

ちなみに、税理士じゃないけど、僕もです(笑)

 

また、優秀な保険営業マンも同様なように思います。

優秀な保険営業マンは、ビックリする位、

相続のことを勉強されていますので、

納税通知書から、様々な分析をされる方が多いです。

 

さて、では、納税通知書から、何を読み解くのか?

本題に入る前に、少しばかり、おさらいです。

 

とはいえ、今日のこちらのブログで、

昨日のブログの内容を細かく説明してしまうと、

昨日のブログそのものの意味が薄れてしまうので、

昨日詳細を知りたい方は、→ こちらをクリック!

 

 

ということで、今回は、「1物5価」について、

「5価」の5つの価格のタイトルだけ、おさらいです。

1)公示価格・基準価格

2)相続税路線価

3)固定資産評価額

4)時価(鑑定評価額)

5)市場流通価格

 

の5つでしたね。

 

では、実際、税理士や保険営業マンは

何をどうしているのか?

 

納税通知書に記載されているのは、

3)固定資産評価額 でしたよね?

 

土地の固定資産評価額だけ分かっても…

と思われますでしょうか?

 

そんな方は、いますぐ、昨日のブログへ Let’s Go!

 

…とは言わず、少しかみ砕いて説明します。

 

「1物5価」の内、 

土地の 3)固定資産評価額 が分かっていれば、

2)相続税路線価 と、3)固定資産評価額の関係性から、

 

3)固定資産評価額 ÷ 70 × 80

 

或いは、

 

3)固定資産評価額 ÷ 0.875

 

によって、

その土地の相続税評価額を推定することができます。

但し…昨日のブログでも記載しましたが、

この「1物5価」の関係性は、原則論ですし、

都心部等の住宅地に限られるように思います。

 

ですから、上記で算出されたものは、

決して正確な数値ではありません。

 

ですが、クライアントとの初回面談等では、

訪問前に、財産内容や遺産内容を予め、

開示していただけるケースはさほど多くない状況下で、

初回面談の際に、いかに少ない手掛かり、

相続を膨らませたうえで、イメージをするのか…

 

と考えると、この「1物5価」の関係性をベースに

ディスカッションを進めざるを得ません。

 

 

次に、

B)法律家(行政書士、司法書士、弁護士)の場合

税理士同様、納税通知書から進めることもあれば、

クライアント宛に伺った際に、

権利証(登記識別情報)、謄本、契約書等から

不動産を割り出したり、

何も手掛かりが無い場合は、

名寄帳を取り寄せ、名寄帳の写しの発行・交付を受け、

財産目録等を作成されます。

 

ただ、法律家の方が作成される財産目録は、

なぜだか、3)固定資産評価額であることが多いです。

 

中には、少し、頑張って、相続税路線価を調べ、

相続税路線価に敷地面積を乗じることで、

算出されたものを財産目録に記載される方が多いですね。

 

本来は、法律家の方が携わる部分は、

遺産分割協議書を作成されるくらいなので、

遺産分割に関わる部分で、

 

3)固定資産評価額

ではなく、

 

2)相続税路線価

でもなく、

 

5)市場流通価格

でないといけないんですよね。

 

大半の法律家の方々は、

このことに気づかれていると思うんですが、

でも、不動産の 5)市場流通価格 なんて、

法律家の方々が、チョロチョトっと、簡単に調べて、

分かるようなものでもないじゃないですか!?

 

不動産屋さん、信用できないし…

とかいう声も、しばしば、聞こえますけど…

けど、そこは、やっぱり、不動産屋さんの

力を借りたいところですよね…

 

それでも、尚、抵抗感がある場合は、

あくまで、1つの指針でしかなく、

実際の査定や鑑定評価のような正確性には欠けますが、

どうぞ、「1物5価」の関係性から、

5)市場流通価格を抑えていただくと、

遺産分割を行う際のヒントになると思います。

 

少し、本題に戻します。

法律家の内、司法書士は、相続登記を担当されます。

この相続登記をする際に生じる

「登録免許税」という税金がありますが、

この登録免許税の計算をするとき、

税額を算出する際の基準となるものが、

3)固定資産評価額になります。 

 

尚、相続において、その遺産を継承する場合、

相続登記によって、不動産の登記名義を、

新たな相続人に名義変更するわけですが、

 

その後約半年前後が経過した際に…

忘れたころにやってくる

「不動産取得税」という恐ろしい税金があります。

この不動産取得税の税額の算出時の基準も、

同様に3)固定資産評価額です。

 

とはいっても、法定相続人が、相続する分には、

この不動産取得税は、非課税ですが、

遺贈等で、新たな所有者が法定相続人ではない場合、

この不動産取得税という税金が課税されます。

(※包括遺贈の場合など例外もあります)

 

すみません、少し、脱線しました。

 

が、もう少しだけ脱線させてください(笑)

 

遺言を作成されたり、

最近ですと民事信託(家族信託)等を契約される場合、

公証役場で公証人にお願いすることが一般です。

 

その際、遺言を作成するにも、

信託契約を締結するにも、

それらの書類は、

公証人が公証役場で作成されるため、

公証人の手数料というものが生じます。

 

この公証人の手数料を算出する場合に用いられるが、

3)固定資産評価額 です。

 

もうちょっとだけ、脱線します。

 

ちなみに、公証役場にいる「公証人」って、

どんな人(資格等・職業)か分かります?

 

実は、「公証人」って、

元裁判官であったり、

元検察官の方なんです。

 

実は、裁判官や検察官を務められた方々が、

定年退職後、法務大臣から任命されて、

公証人になることができるんです。

 

しかも…

公証人は、法務大臣から任命されている国家公務員。

 

もっと、驚く点は…

国家公務員なのに、独立採算制の個人事業主、

つまり、…「自営業」な点。

 

とはいえ、いわゆる、「自営業」とは、なんか違いますよね?

法律上、「公正証書」でないと、効果を生じない、

つまり有効とならない書類もありますし、

報酬(手数料)基準も定められていますし(笑)

 

 

さて、だいぶ、脱線したので、本題に戻りましょう。

 

C)不動産プレーヤーの場合

前述の A)税理士・保険営業マン、

B)法律家と同様です。

 

ですが、不動産プレーヤーの場合、

前述のA)税理士・保険営業マン、B)法律家

のような納税通知書からの利用に加えて、

不動産プレーヤーにしかできないことがあります。

 

それは、「住所さえ、分かれば何とかなる!」

これが、不動産プレーヤーの最大の強みです。

 

極端な話、住所が分からなくても、

「町名と、●丁目■■番」程度迄、

分かれば、何とかなりますし、

 

気合を入れて丁寧にしらみつぶしにあたれば、

「町名と、●丁目」程度でも、どうにかなります。

 

不動産プレーヤーは、対象不動産について、

住所以外の手掛かりが無い場合、

まず、住宅地図において、対象地を確認します。

 

次に、「ブルーマップ」という

住宅地図上に青地の地番表記がある

特殊な地図で、対象不動産と、その地番を確認します。

 

この地番を特定できたら、あとは、こっちのもの(笑)

 

公図を取得し、土地の登記情報を取得します。

住宅地図や、ブルーマップで見た対象土地の形状と

公図の形状が異なる場合は、

隣接する全ての土地の登記情報、地積測量図を取得し、

対象となる不動産の形状、筆数、地積等を把握します。

 

結構な頻度で、共同担保が付されている場合があるので、

そのような場合は、共同担保目録より、

共同担保に付されている土地についても、

同様に、公図や登記情報、地積測量図等を取得します。

 

※本来は、建物も同様に調査しますが、

今回は、土地の話なので、建物の話は割愛します。

 

その後、対象不動産の登記上の概要を確認出来たら、

用途地域や、建築基準法上の接道義務や制限、

道路法上の道路の状況等を抑えたうえで、

現地の様子などを確認します。

 

ここまで完了したら、

 

2)相続税路線価 を調べるために、

路線価図を取得したり、

 

3)固定資産評価額 を調べるために、

固定資産税路線価を調べます。

 

相続税額の算出には、税理士法に抵触しないよう、

税理士に依頼すべきですが、

僕の場合は、業務として、

税理士のサポート業務を行っているので、

税理士への提出書類として、土地毎の土地の形状等

様々な点から検証し、相続税を算出するため、

かなり細かな評価を行っています。

 

とはいえ、提出先は税理士ですし、

自身が行った内容の結果を踏まえ、

クランアントに直接的に伝えるのは、税理士なので、

税理士法には抵触しない範囲で、

あくまで外注先として、対応しています(笑)

 

 

多くの不動産プレーヤーも、

2)相続税路線価 の路線価図を取得されることは

あるかと思いますが、

 

僕の場合は、更に、

3)固定資産評価額を算出するために、

固定資産税路線価を調べ、

推定固定資産評価額を算出します。

これは、対応されていらっしゃる

不動産プレーヤー、多いですよね?

 

…と言っても、原則的に、

固定資産税路線価に地積を乗じているだけ

なので、僕も含めて、大したことはしていません(笑)

 

本当は、固定資産評価額の算出に至っては、

細かな検証が必要なんでしょうが、

固定資産評価額の算出方式は、

とにかく、奥が深すぎるため、割愛し、

原則的に、固定資産税路線価に地積を乗じる…

に留めています。

 

なぜならば…この段階では、

初回相談に過ぎませんから、

クラアントも100%正確な

内容を求めているわけではなく、

ざっくりした内容が分かれば良いだけです。

 

むしろ、正式にご依頼いただければ、

固定資産評価額が分かる資料等は、

役所ですぐに取得できますし、

 

よくあるのは、

「あら、それなら、どこかにあったわよ!」

 

なんてことになり、

10分もすれば、探して来てくださるので、

細かな計算をするまでも無い…が、僕の考え方です(笑)

 

また、固定資産評価額が必要な理由としては、

相続人が誰によるか…

遺贈が含まれるか…

によって多少、異なりますが、

登録免許税や司法書士報酬、不動産取得税等、

固定資産税・都市計画税を

シミュレーションするためです。

 

 

そして…最後に来るのが、

不動産プレーヤにとって、

一番重要な 5)市場流通価格 の算出。

 

もちろん、不動産プレーヤーの方ですから、

元々、ご自身が持たれている感覚や経験値、

そして詳細調査等から算出される

5)市場流通価格 があると思いますが、

 

「1物5価」の関係性から導き出される

5)市場流通価格 も、

そんなにハズれていないです(笑)

 

イメージとしては、

1)公示価格・基準価格を100とした場合、

5)市場流通価格は、110~120、

場合によっては、115~120程度

のことが多いです。

 

そのため、全く地縁の無い土地等の場合でも、

首都圏の住宅地であれば、概ね、ハズしません(笑)

 

ちなみに、僕が普段、利用している

査定書(調査報告書)では、

デフォルトで、「1物5価」の内、

4)時価(鑑定評価)を除いて、記載しており、

この「1物5(4)価」の関係性が、

見て取るように分かります。

 

ですから、「1物5価」の関係性によって、

5)市場流通価格 まで算出できてしまえば、

遺産分割の話もでき、

 

 

2)相続税路線価 も分かることで、

相続税の話もでき、

 

3)固定資産評価額 も分かることで、

名義変更(登記)等の費用も抑えることができ、

更には、保有期間中のランニングコストとしての

固定資産税・都市計画税迄も抑えられる

 

…あれ? 今、思ったんですが、

「不動産プレーヤーにしかできないことがあります。」

と上述しましたが、

A)税理士、保険営業マンの場合

B)法律家(行政書士、司法書士、弁護士)の場合、

C)不動産プレーヤーの場合

 

の内、 C)不動産プレーヤー 、凄くないですか?

当然、A)税理士、保険営業マン、B)法律家でも、

やろうと思えば、やれちゃうことなんでしょうが、

「1を知れば10を知る」じゃないですが、

無茶苦茶、凄いと思いますし、

A)税理士、保険営業マン、B)法律家

の役に立てると思うんですよね!

 

だからこそ、先日もブログで、

「不動産のプロは、相続コンサルタントになるべき」

なんてこと、熱く、書き綴らせていただいています(笑)

 

 

とうことで、いつも通りの長文ですが、

「1物5価」の関係性が分かっていれば、

上記のように、初回相談時において、

数少ないヒントから、

1)公示価格・基準価格

2)相続税路線価

3)固定資産評価額

4)時価(鑑定評価額)

5)市場流通価格

 

の内、自身が欲しい「時価」に

アクセスすることができるようになり、

限られた情報に制限される初回面談において、

「そこまで、分かっちゃうんだ!」

「やっぱり、プロって凄いね!」

 

と、クライアントに仰っていただくことでき、

関係もグッと深まるのではないでしょうか?

 

※何度もしつこいですが、「1物5価」の関係性は、

首都圏の住宅地では、

この関係性が成立していることが、

僕の調査でも実証されています。

しかしながら、商業地や、地域、エリアが異なると、

上記のような関係性に無い場合もあります。

 

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