先日、同世代の弁護士さんと、
今、僕が対応している相続案件について、
ディスカッションをしていました。
ディスカッションの内容は、
①非弁行為(弁護士法第72条)
②遺留分対策
③今後の相続業界の在り方
の3点。
①非弁行為(弁護士法第72条)については、
前回UPしたコラムにその概ねを記載しているので、
ご確認いただくとして、
②遺留分対策については、
こちらでは、決して触れることのできない
内容のため、割愛(笑)
そして、この仕事をする中で、一番重要だと思い続け、
一番長くディスカッションした内容が、
③の「今後の相続業界の在り方」 について。
平成24年の年末に平成25年度税制改正大綱が
プレスリリースされてからというもの、
「相続ビジネス」と揶揄されるように、
税理士、行政書士、司法書士、弁護士をはじめ、
不動産、保険、ハウスメーカー、建築メーカー、
葬儀社、出版社、教育事業、資格事業、
WEB作成、SEO対策、リスティング広告等が、
物凄い勢いで、「相続」に紐づき、
一気にビジネス戦略に取り入れ、
「いかに、市場からパイを奪うか」を考えています。
サービスの質が高まるのであれば、
それによって、サービスを受ける側(国民)にとっては、
満足度が高まるのでしょうから、
正に資本主義社会をとっている日本にとっても好ましい
傾向になるでしょう。
ところが、今の日本経済を物語るかのように、
この相続に関連する各事業も、ハイパーデフレが進んでいます。
ハイパーデフレが進むだけであれば、
市場の原理として、仕方ないかもしれませんが、
2つ目にとして、最も問題なのは、
相続に関連する各事業における「サービスの質」の低下。
本日のディスカッションの核は、
この相続に関連するサービスの質が、全くダメということ。
上述の通り、ハイパーデフレにより、
どんなに高品質なサービスを提供しても、コスト倒れになる・・・
という現象が生じることも当然かと思いますが、
それにしても、酷い質であることが多い…という悲しい話でした。
今は、情報社会。
スマホがあれば、
タブレットがあれば、
PCがあれば、
何でも気軽にインターネットで検索することができる
非常に便利な時代です。
例えば、相続が発生した時に、
多くの方が気にされる相続税。
さて、税理士は、どうやって決めよう・・・
ここで、
多くの方は、スマホで、検索されます。
・税理士
・低価格
と。すると、税理士業界もハイパーデフレのあおり受け、
申告報酬を安くしないと、
・集客できない
・受任できない
等といった時代ですから、
本来は、税理士としての
コンサルティングサービスの質の高さに応じた
報酬であるべきですが、
他の税理士が低額な報酬を打ち出しているため、
どうしでも、報酬の提示額を下げざるを得ない・・・
ということで、正規の報酬よりも安価に提示。
しかしながら、安価で受任するということは、
案件の件数を沢山、こなす必要があるから、
1案件あたりに対して向き合う時間は限られてしまい、
結果的に、大したパフォーマンスは発揮できず、
通り一辺倒な無難な申告だけをしておく…
結果、相続人の方々にとっては、
思わぬ盲点があったり、次に発生する相続の際に、
大打撃を受けることもしばしばあります。
つまり、このハイパーデフレという時代もそうですが、
提供するサービスそのもの、つまり質そのものも
低いことが見受けられるという事です。
これは、税理士に限ったことではなく。
行政書士、司法書士、弁護士も然りで、
独禁法の関係でしたっけ?
(*間違っていたらすみません)
各士業会で報酬規程が設定されていた頃とは異なり、
報酬規程が撤廃され、報酬の自由化が進んだことにより、
国民としては、従来よりも低価格で専門家からの
サービスの提供を受けられるようになった…
というメリットの一方で、
付加価値の高い、パフォーマンスの高いサービスを
受けづらくなってしまっているように感じます。
厳密に言うと、ハイパフォーマンスなサービスを受けられる
「機会を喪失」しているというイメージを持ちます。
また、昨今では、相続で思い悩む方々向けに、
「相続はチームで解決!」
等といったフレーズをよく目にします。
かく言う僕自身も、
理事を拝命しているため、様々な場面で、上述の
「相続はチームで解決!」
に類するようなフレーズを口にしていますが、
僕の場合は、ちょっと、意味が違います。
確かに、相続は、
法律、税金、保険、不動産、建築、手続き、登記
等といった専門的知識を要するため、
一ヶ所に相談に行って、専門外だと、たらい回しになるので、
これらの専門領域の専門家がチームをして連なることで、
「チームで解決」と言いたいのでしょう。
間違ってはいないと思います。
が、ここには、大きな問題点があるんです。
各々の専門分野については、
その分野の専門家ですから、知ってて、当然です。
凄いことでもなく当たり前のこと。
各分野の専門が揃っているので、
そのことは、税理士、
そのことは、弁護士、
そのことは、司法書士
・・・等と、たらい回しにされることはなく、
簡単な事であれば、解決するでしょう。
これも当然の事。
今回の弁護士とのディスカッションで挙がったのは、
本当に求められるのは、
1)自身の専門外の領域をどれだけ理解し、
2)実務レベルで、
その分野の専門家と対等にディスカッションでき、
3)業際(各分野の跨る部分)のフォローができ、
4)これらをクライアントに分かり易く説明、提案できるか
等といった点であり、
いくら各専門分野の専門が揃ったところで、
例えば、各々専門家が独占業務として、
規定されていない盲点のような業務に需要があったり、
自身が専門されている分野とは別の分野においても、
アンテナを張り巡らせているような専門家でないと、
表層的な…メッキ的サービスとなってしまい、
メッキ上のサービス内容ですから、
すぐに剥がれ落ちてしまう取り繕ったサービスにすぎず、
結果的に薄っぺらく、効果をなさないサービスであることが
少なくありません。
他の専門分野の方々と、その専門分野について、
ガチでディスカッションできるレベルの専門家が、
集まっていないと、正直、意味をなさない
・・・という結論でした。
逆に言えば、
いくら、専門家が仲間内で徒党を組もうが、
上記3点をクリアしていない場合、
それは全く機能していないことを意味し、
更には、後に出てくるように、
単にマーケティング戦略の一環に過ぎず、
相続に悩まれる方々にとっては、
大して役に立っていない
・・・だから、次々と、いろんな「チーム?」
に代わる代わる、相談に行ってしまうのではないか?
と。…正に、僕が思っていたことと同じで、
ちょっと、嬉しかったです(笑)
近年では、「相続コンサルティング」
という言葉が認知されるようになり、
民間資格などでも、相続に纏わる資格も多々、
輩出されています。
このこと自体は、
「相続にはコンサルティングが必要」
という事の喚起になれば良いという意味からも、
応援はしていますが、問題は、これが、本当に
「コンサルティング」として機能しているのか?
という点です。
ここから、先は、
ディスカッションしていた弁護士からも
「佐藤さん、それ言っちゃうと…
敵、増やしますよ … 干されますよ!」
と言われましたが、仮に、もし、そうなっても、
僕を応援してくださるようなので、
… 書いちゃいます(笑)
まぁ、僕自身、普段から親しい方々や、
業界団体をはじめ、定型的に研修を担当させている
公益財団法人不動産流通推進センターでの研修でも
お伝えしている内容ですし…(笑)
そう、僕が一番問題視しているのは、
「それ、本当にコンサルティングですか?」
ということ。
例えば、例えばですよ!
不動産仲介業者の方が、
「相続コンサルタント」と名乗って、
提案する内容が、
・不動産の売却
・不動産の購入
・不動産の組換え(売却&購入)
・建物の建築
だけしか提案もしてくれないとするじゃないですか?
けれども、クライアントは、不動産よりも、
遺言や、信託、生前贈与、保険、相続税について、
相談をしたい・・・
でも、そうなると、その「相続コンサルタント」
と名乗る不動産仲介業者の方は、
「僕、不動産業者なんで・・・」
と言って、話す内容は、不動産の事ばかり…
仕方がないので、騙されたと思って、
不動産の売買を検討するも、
・その売買によって、税金がどのように変動するのか、
・相続にどのように影響を与えるのか・・・
等を聞いても、
「僕、不動産業者なんで・・・」
と返答され、ごく稀に、
「税金の事、回答しちゃうと、
税理士法に抵触するので・・・」
等と、さも、まともな回答をするかのように、
誤魔化される始末。たしかに、
税理士でない者が、個別具体的な
税務について語ることは、
税理士法に抵触するため、対応として、
100%間違っているわけではありませんが、
ですが、それを踏まえた上での回答はできないものか…
せめて、自分で回答することできなければ、
税理士に試算してもらったり、レポートしてもらい、
そのレポートを持参したり、或いは、
税理士を紹介すれば良いだけの気もします。
それであれば、100歩譲って、
「相続コンサルタント」でなく、
「不動産売買コンサルタント」程度で留め、
その代わり、「不動産の売買」については、
100%、クライアントに寄り添った
コンサルティグを提供していただきたいところです。
保険業界の方でも、
代理店にお勤めの方ですと、
「相続コンサルタント」と名刺に記載されていたり、
「相続のコンサルティングしています」と、
伺う機会が多々あります。
とはいえ、お話しする中で、色々と確認しますが、
やはり提案することは、
・保険の加入
・保険の乗り換え
そりゃ、そうですよね。
だって、保険営業マンですもん。
優秀な保険営業マンも沢山、存じ上げていますが、
やはり、保険営業マンがどんなに優秀で、
どんなに一生懸命、相談内容に真摯に取り組んでも、
最後には、必ず保険の営業が付いてきます。
もう、最後の最後は、
「あれだけ対応したんだから、
ね、分かりますよね?
僕、役に立ちましたよね?
保険、入ってくれますよね?」
というイメージ。
確かに、相続に関する件で、
クライアントの役には立っているだろうけど、
それは、おそらく、そのクライアントが、
大口の保険に加入できると見込める資産があって・・・
というもの。
もし、「既に保険には加入しているから新規では、入らない」
や、「保険に加入できる資産構成でない」といった場合、
遺言や信託や、生前贈与等のみを望まれている場合であれば、
その「コンサルティング」はされない・・・でしょう。
ですから、自身で提供できるサービスの出口(目的)が、
保険商品であるならば、「相続のコンサルティング」でなく、
「保険コンサルタント」とされた方が、適切ですし、
本当の意味で、
・何かを売りつけることを目的とせず
・きちんとした相続コンサルティングを受けたい
というニーズをもったクライアントに対して、
マーケティングの一環で、
「相続コンサルティング」という
フレーズを利用されてしまうと、
マッチングしてしまったクライアントは、
大変な不幸を被ることになります。
故に、最初から出口(提案商品)が決まっているのは、
コンサルティングでもなんでもなく、
ましてや、相続といった、一族の財産や文化、人間関係に
大きな意味を持つ問題に対して、
「相続コンサルティング」や「相続コンサルタント」という
ネーミングを、ある意味、不当に活用しているに過ぎないのではないか?
だからこそ、「コンサルタント」としての証である
「コンサルタント報酬」を得ることができず、
それが、不動産の売買や、保険契約になってしまっているとうこと。
今、僕が自身のスキルUPのために通う講座では、
「コンサルティングとは、何だろう?」
という点を常に考えさせられていますが、
この講座で学問・・・というよりスキルとして、
「コンサルタントのクライアントの関係性」を学びました。
詳細は、講座で学ぶ事なので、
こちらで触れることはできませんが、
その「コンサルタントとクライアントの関係性」については、
僕が、日頃から、常に口に出していることが、
無意識に提案している内容、そのものでしたが、
改めて、そちらの講座で学問(スキル)として
学ぶことで、腑に落ちました。
僕が、この相続コンサルタントとしての
人生を歩み始めたのは、
2011年(平成23年)からになりますが、
当時から、
「クライアントにとっての最善を提案し続ける」
を掲げてここまで来ました。
クライアントが地主さんの場合、
多くの相続コンサルタントは、
マンション用地となるような大規模な土地、
建売用地になるような纏まった土地、
ホテルのようなハイグレードな賃貸マンションの建築
等を提案するでしょう。
でも、僕が貫くのは、真逆の進め方です。
「本当にこの土地、売りたいですか?」
「ここは、●●家として、残すべきでじゃですか?」
「●●家の後世に残すために、一緒に対策を進めましょう!」
です。
かといって、僕自身が、
クライアントに対して、
絶対に不動産の売却を提案しない・・・
というわけではありません。
地主にとって、どうしたいのか…
守りたい資産はあるのか…
そうであるならば、その守りたい不動産を
特定したうえで、
その不動産を守るための手段として、
例えば、市場流通性は著しく
低価格であるにもかかわらず、
相続税法上の評価は、
所有権評価額に対して、
3~4割前後なってしまい、
頼りの地代(家賃)収入は、
固定資産税の4倍前後・・・
おまけに、更新や名義変更、建替の際には、
何らかの問題点をかかえるため、
借地権者との関係は最悪な底地…
このような稼ぐことができず、低収益で、
悩みのタネでもある底地については売却を提案…
その売却によって得られた資金を基にして、
地主が守りたい不動産を手放さなくて済むような
対策の提案も、勿論しています。
それは、単に「不動産の有効活用」等
という点からだけでなく、
国内で販売される保険商品を活用したり、
国内では取扱われていないレバレッジ効果を活用できる
海外保険を活用することもあります。
更には、相続税の納税という観点だけでなく、
そもそも、その土地を誰に継承してほしいか…
等についても、
遺言をはじめ、生前贈与、死因贈与、信託等を
活用しながら、提案します。
ただし、このような観点から、
沢山の相続相談に対応する中で、
僕の提案する相続対策の方向性も、
多少、変化してきました。
当初は、遺産分割対策や節税の点から、
活躍させていただくケースが多かったですが、
近年は、遺産分割対策は勿論のことですが、
納税資金対策に力を入れるようになりました。
これだけ見ると、
「結局、マンション用地、売らせるんでしょ?」
と言われることもありますが、ちょっと違います。
僕の場合は、
「どれだけ純資産、そしてキャッシュフローを増やすか」
を重要視します。
節税、節税と節税ばかりに舵取りをされる
相続コンサルタントが多くいる中、
僕が提案する内容は、
いかに、安全に、
純資産、キャッシュフローを潤沢にするか…
という点。
若干の評価の算出方法が異なりますが、
税金は、相続した資産を市場価値を超過してまで、
課されるものではありません。
であれば、節税なんてことに走らず、
むしろ、増やす方に舵取りを知れば、
納税額なんてものは、増えた分より少ないわけですから、
いつ否認されるか分からないような節税対策を
チマチマやっているよりも、
確実性が高い方法で、安定的に資産を増やしてしまいませんか?
という具合。
単に節税目的に、
アパート建築や、マンション建築をされる方が
非常に多くいらっしゃいますが、
節税を第一目的として、
金融機関から資金調達までされて行うのであれば、
止められた方が賢明です。
その理由は、また、別の機会に・・・(笑)
さて、また、脱線しましたので、話を戻します。
元の話と言えば、弁護士と話していたことは、
これからの時代は、
法律、税金、保険、不動産、建築、手続き、登記に
精通した本当の意味での「相続コンサルタント」が必要だよね?
という話。
また、相続に携わるプレーヤーや、
本来は、上記の意味での
「相続コンサルタント」でいるべきだよね?
その意図を汲んで、4年前からスタートして、
開催当初から、その開催目的を全くブレさせず、
相続事例研究会を70回以上も開催しているって凄いよね!
というオチでした。
ちなみに … こんなことを書いておいて、
自身で申し上げるのも何ですが、
相続事例研究会に通っていただている方々は、
相続事例研究会が掲げる目的を理解されているため、
必然的に同じ価値観、スタンスでコンサルティングを
される方が圧倒的に多い傾向にあります。
これまで、72回開催してますから …
そりゃ、相続事例研究会を開催する目的から始まり、
理念は浸透しますよね … 「継続は力なり!」
まぁ、若輩者の癖に生意気ですが、
そういう意味では、同じ価値観、スタンスで
コンサルティングをされる方々を要請できているのでは?
と思っています。
ですから、相続事例研究会に通われている
不動産営業マン、保険営業マンの方々は、
上述で紹介したようなケースとは、
ほぼほぼ無縁で、高い志を持たれた方に
ご参加いただいているものと実感しており、
だからこそ、今後も、
より価値のある研究会を継続していかねば …
と主催者としては、嬉しい限りです。
さて、長くなるので纏めますと、
冒頭の通り、親しい弁護士とディスカッションしていた内容は、
①非弁行為(弁護士法第72条)
②遺留分対策
③今後の相続業界の在り方
の3点。
①非弁行為については、
過去に記載したブログのURLを参照させていただき、
②は、こちらで触れられる内容ではないため、割愛。
とういことで、今回は、③について、
ひたすら長々と書き綴ってしまいました。
ということで、普段より、このような
志をもって、日々、相続コンサルタントとして、
相続コンサルティングに邁進させていただいております。
今後も、この相続コンサルティング業界を、
より良くすることで、より良い日本に繋がり、
後世にとって明るい日本を承継させることができるよう、
努めます!
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